2011/03/31

スタンダードの条件

「建築知識」の企画で(ときどきバイトしています・笑)、伊礼さんとリクシルのサーモスSを見に行ってきました。



サーモスSとは、同社肝入りの新・窓シリーズSAMOSのアルミサッシバージョン。すでにアルミ樹脂複合サッシのサーモスHが昨年秋に発売されています(寒冷地限定)。サーモスSは、10月に全国発売予定とのこと。


サーモスSのショールーム。
本邦初公開!ということで、1番乗りの記念撮影
真ん中が伊礼さん。
その両脇がSAMOS開発チームの圖師さんと堤さん。


 
「日本の窓の新しいスタンダードをつくる」



SAMOS開発チームに与えられた使命です。



新しいスタンダード・・・



言うのは簡単ですが、「新しい」と「スタンダード」、このどちらかだけでも実現するのは難しい。特に「スタンダード」はハードルが高い。


そこで聞いてみました。


スタンダードの条件とは、何でしょう?



「誰もが手の届くコスト」
&
「誰でも使いやすい仕様」
(by堤さん)


 
開発チームは、これまでにない新しい窓を考え抜き、さらにそれを従来品とほとんど変わらない価格と仕様で提供するために知恵を振り絞りました。こうしてできたのがSAMOSです。



どのへんが新しいかというと・・・


たとえばテラスドア。
左がサーモス、右が従来品
(毎度のことながら写真が下手ですいません)


ルーバー窓もあります。
手前が従来品、その向こうがサーモスS
(違いが分かりづらいアングルですね・・・)


取材内容の詳細は、建築知識に掲載します(掲載号は未定)。ビルダーズ04号の74-75ページでは、サーモスHについてまとめています。


自身の設計を標準化し、いまや住宅そのものの「プロダクト化」に取り組む伊礼さんも、スタンダードをつくる難しさにうなずきます。


「その時代のスタンダードがある」
=「スタンダードも進化する」
(by伊礼さん)



 誰にもまねできない一品モノをつくるのも、ものづくりの極みですが、


誰もが使えて、つくれるもの。それを一番最初に生み出すというのも、また、ものづくりの極みであることを、この取材で学びました。


★4月1日に、住生活グループ傘下の事業会社であるトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合され、株式会社LIXILが誕生します。売上高1兆円以上、社員約6万人・・・。すごい規模ですね。これがスタンダードの条件だったりして・・・。

2011/03/29

仮設住宅(続き)

仮設住宅の建設が急がれるなかで、建設地確保などさまざまな問題が起こっているようです。


気になるのは、仮設住宅の断熱性能。寒冷地ですから、冬が心配です。もちろんこれから迎える夏の暑さも。

いろいろ聞こえてくる声を整理してみると、断熱材メーカーも工場が被災して生産量が減っているので、とにかく最低限必要な断熱材を調達することで手一杯というのが実情のようです。屋根はグラスウール100mm厚、壁はグラスウール50mm厚相当で、ごくごく一般的(最近では低いくらい)な仕様でいく線が強いようです。

そして気になることがもう1つ。
仮設住宅の建設が、地元の経済活動に役立っていてほしい・・・ということ。

岩手県議さんのブログによると、現実はそうもいかないようです。

県の指導が受け入れられて、せめて地元の木材が使われるといいですね。
木材なら撤去するときにも、ゴミの問題に困りませんから。


★被災地の妊産婦さんのための募金をしました。
被災地の未来を担う小さな命をしっかりと守ってもらいたくて。

2011/03/28

仮設住宅

住宅もインフラの1つ。復興支援として、大手住宅ハウスメーカーが仮設住宅の供給をスタートさせました。

3月25日(金)日経新聞夕刊

5月末までに約1万戸の仮設住宅を建設。積水ハウスと大和ハウス工業が約2000戸ずつ。ミサワホームや積水化学工業が約1000戸、トヨタホームは約800戸、このほかパナホームや住友林業、三井ホームなどが対応するとのこと。


仮設住宅の価格は、1戸あたり238万7000円(災害救助法より)。ただし、寒冷地仕様のため、断熱材が厚くなる分の価格アップには、対応するようです(厚生労働省より)。


間取りが、 プレハブ建築協会ホームページにありました。



阪神大震災では、49,681戸が供給されたそうです。今回、現時点で 国土交通省が求めているのは3万戸。ものすごい数ですね。 



まずは、被災者の方々が早く無理のない生活ができること 。


そのうえで思うことは、


被災地の経済活動に、仮設住宅の建設がおおいに役立ちますように。


★昼間の計画停電で、外で遊ぶ子どもが増えたそうです。テレビゲームよりも楽しい遊びが見つかるといいですね。

2011/03/24

浦安の液状化(続き)

市の2/3が埋立地という浦安市。埋め立ててからまだ60年ほどしか経っていないという、海側のエリアを歩きました。

ほかでもたくさん取り上げられていますが・・・、
やっぱり見ると驚きます。
突き出したマンホール・・・

 地盤が液状化して、空洞のある下水道管に浮力が働き、突き上げられるそう。
  これらはどうやって戻すのでしょうか・・・?


1段分が下がってしまったコンビニはアスファルトのアプローチ・・・




道は泥で覆われて、雨が降ればぬかるむし、
乾けばマスクがないといられないほどの砂ぼこりに・・・



歩いていると地盤が波打つとは、こういうことなんだと実感します。




戸建住宅エリアでは・・・
多くの住宅が傾いています・・・


 塀や門廻りが崩れているのは、もう珍しくありません

 ポールがなかったら、くずれていました


 まるで浮き上がってしまったかのよう・・・

配管がむき出し・・・


こうした沈下が原因で大きなダメージとなったのは、
上下水道やガス管の破損。
写真は、切れてしまった上水道管。
工事している方に聞いたら、使える配管の有無を確認しているとのこと。

下水道管の多くは泥が詰まっていて、復旧には時間がかかるそうです。


住宅街の中の公園に仮設トイレが・・・
断水が解除されても、下水道が復旧していなければ、
トイレは、家を出てこの公園に来なくてはなりません。




最寄駅の新浦安駅ではエレベータを
どこかのテレビ局が撮影していました。


駅前の広場では、ボランティアと思われる方々が泥を片付けていました。


袋に集められた泥。これらの処分も決して簡単ではありません。
セメント業者さんなどに買い取ってもらっているとか・・・。

 大学生かな?
慣れない手つきで泥を片付ける姿がさわやかでした。

こういう若者の姿を見ると、なんか安心します。





東京駅から15~20分程度の町で見た被害。1日より早く復旧を願うとともに、この事態から1つでも多くのことを学び、これからに生かしていかなくてはならないと心から思いました。


★浦安にある明海大学の前を歩いていたら、大学生に間違えられました♪
え・・?マスクをしていたから・・・?

2011/03/23

浦安の液状化

浦安に住んでいる育休中の同僚から、写真が届きました。


地震時に慌てて家の外に出たら、
目の前で道路に亀裂が入ったそうです。

臨海エリアの目と鼻の先の浦安ですが、
停電・断水と被害はかなりひどかったようです。

電柱も傾いています。
家が15㎝傾いているなんてのも、少なくないそうです。


同僚の家は、浦安でも20年以上前の造成地で、被害は少なかったようです。国道を挟んで海側の最近開発された「高級分譲住宅街」や「リゾートのようなマンション」の被害が、かなりひどいようです。明日、雨が止んでいたら、行ってみようと思います。

2011/03/22

住宅の火災対策

防災について勉強してみようと、以前から気になっていた「住宅の防火」に詳しいという、桜設計集団の安井昇氏を訪ねました。

革ジャケットをさらっと着こなしているスマートな姿からは、
炎に強いイメージはありませんが・・・


火災に強い構造や建材を研究していて、何でも燃やして検証するというモヤシ系設計者。木造校舎をつくろうというプロジェクトでは、安全性を確かめるために実物大の校舎をつくって燃やしてみるというから驚きです。




「火事には時間軸がある」




火事は発生から段階を追った対策が必要だと安井さんは言います。
時間軸とは、ざっくり言うと・・・
↓↓↓


着火直後 → 住人が逃げやすいつくり(=燃えにくいものを使う)
10分後くらい → 消防隊が消しやすいつくり(=プランや形状が関係してきますね)
1時間後くらい → 建物間の延焼を防ぐつくり(=燃えぬけない、もらわない)



また、設計するときには防火規制をクリアするだけでなく、



「着火と燃え方をコントロールすることが大事」



着火するとしたらどの部分か、採用する建材はどのような燃え方をするのか。
ちゃんと考えないと、規制をクリアしても、火災から人を守るとは言い切れません。



特に「燃え方」が重要とのこと。自然素材でも燃えれば有害物質を出すものもあれば、木材のように着火しても炭化することで、火災に耐える材料もある。


防災意識が高まっている今こそ、火災に強い住宅をちゃんと考えてみる必要がありそうですね。


安井さんには、ビルダーズ05号(5/27発売)で木造住宅の火災対策についてまとめてもらうことをお願いしました!
さらに、 ビルダーズ学校でも、いろいろ燃やした実験などを見せてもらいながら防火を学ぶ、「炎」の授業をやっていただくことになりました!

2011/03/21

放射能

フリーライターの西村弘志さんから、下記のメッセージが届きましたので紹介します。

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福島第一原子力発電所の放射能もれは、
目に見えない被害だけに、とても不安なものです。
しかし、放射線量の測定値に過大な不安を抱き
「首都圏は外出すると危険」といったデマが
他の地域では流布されつつあるようです。
しかし、これらの量はきわめて少なく
世界的にみると、ブラジル、アフリカ、中国、中東などの
一部地域では自然界にある鉱物資源の影響で
バックグラウンドの放射線量が、首都圏の値の数十倍もあるのが
日常的なケースもあり、そこでの健康被害は報告されていません。
人間には、健康を取り戻す再生能力があります。
ある程度以下の放射線に対しては
健康被害が生じないことは、大腸菌がうようよいる
日常生活からもうかがい知れます。
私は、以前「放射線管理区域」で働いていました。
短期間でしたが、かなりの放射線を浴びたようです。
正社員がいやがる場所にも入り、放射線を除去する仕事です。
検査して、正常値を超えるとビニル手袋をはめて
紙で引き取り除染する作業ですから
今考えるとずさんな作業ですね。
しかし、そんなことをしている私もそれから約20年
無事に生きています。
人々を不安に陥れるのはデマなどの不正確な情報です。
こんなときにこそ、何が正しい情報か
十分に精査した上で対処していただくことが
今後、新たな災害に直面したときに役立つのではないでしょうか。
マスコミ関連の仕事にある者として
また、一人の日本国民として
どうか、みなさま方のご協力をよろしくお願いいたします。
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私自身は、放射能の今の状況をどのようにとらえたらいいのか、正直分かりません。

ただ、記者会見や報道番組で解説している人達は、
被災したわけでも、原子力発電所で実際に作業をしているわけでもない。
どこか他人事の原発解説に食傷気味です。

本当に人体に影響ないと言うなら、該当の水や野菜をその場で食べてみせるくらいはしてほしいなぁ。


★NHK大河ドラマ「江」で、久々に号泣。
鈴木保奈美演じる「市」の凛としたふるまい・・・
男でも女でも、覚悟を決めたときの姿に弱いんですよね。