浦安市弁天の高級住宅街にあるK邸。建ててから、わずか10ヶ月後に震災にあいました。大きな被害はなかったものの住宅が6~8cm傾いたため、沈下修正工事を行うことになりました。ここでは、その工事の様子を紹介しましょう。
【工事内容】
建物の外周に耐圧版ジャッキを設置し、
建物の内部はウレタン注入工法で修正
耐圧版ジャッキは合計11箇所(■部分)に設置
ちなみに傾き具合は・・・
左下隅部をゼロとすると右上隅部が-81mm(外壁水切位置で計測)
簡単に言うとこんな感じです
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すいませんッ!81cmではなく81mmです。
ちなみに室内を同じように測ると、傾きは-68mmだったそう。
実際の生活性を考えて、-68mmをゼロに近づけることが目標になります。
耐圧版ジャッキの数や設置する場所は、建物の重さや傾き加減で決めていきます。ジャッキの数が多ければ多いのほど、持ち上げるのも支えるのも簡単になりますが、その分コストもかかります。
「ちょうどいい」数を計算して決めるのが、プロの業。コストを考えれば、設置数は少ないほうがいいのですから。
耐圧版の設置には3~4日かかります。
建物の外周部(ジャッキ設置場所)に穴を掘ります
上から見るとこんな感じ。
チラっと見える赤いのがジャッキ。
下に鋼板が敷いてあります。
(写真は木材をかませているが)
イラストにするとこんな感じ
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基礎を持ち上げると、中に空洞ができます。
この空洞をどうするかが1つ問題となります。
もう1つ、基礎の中梁は、どのようにして持ち上げたらよいでしょう?
同じようにジャッキを設置するという方法があります。
その場合は、中梁まで掘り進めていくことになります。
K邸では、床下(基礎)にもぐり込んで、そこから基礎下にウレタンを注入するという方法を選びました。
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黄色い部分がウレタン樹脂。
床下へは台所の床下収納から入ります。
黒いチューブを通ってウレタンが注入されます
外側の穴を見てみると、ウレタンがあふれ出していました。
K邸では、300~400kg(3~4立米)のウレタンが使用されたそうです。
耐圧版設置に3~4日。
傾き修正に1日(半日程度)。
穴埋め・清掃に1日。
実質工事日数は6日間でした。
こうしてK邸では、最終的に室内の最大傾き-68mmが-2mmまで修正されました。
さて、気になるコストですが・・・
合計 約380万円
K邸の場合、国や自治体の補助金が200万円程度あったため、実質180万円程度の出費だったそうです。
もっと安くできる方法はないのか・・・・?
被害の状況、地盤の特性などいろいろあるので、
必ずしも安いとは言えませんが、
「基礎上」で傾きを直す方法があります。
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基礎ではなく、家を持ち上げて、基礎のレベル修正をしたり、基礎を新設したりする方法。特に傾きがひどいケースは、基礎下から持ち上げるよりも、基礎上で修正したほうが手間もコストも少なくてすむようです。
沈下修正には、さまざまな方法があります。今回、K邸では2つの方法を組み合わせて工事がなされていました。通常、ジャッキアップ工法とウレタン注入工法は、ライバル同士。互いの欠点を指摘しては、自分たちのメリットを強調してきました。
しかし、どの工法にも長所短所がありますから、それぞれの長所をうまく使いこなすという柔軟な発想が大事ですよね。違う工法を組み合わせる、すなわちハイブリッドというのは名案ですね。
工事終了後、工事会社の方が言っていました。
「家は直るもの」
そう、家は直るんです!
★K邸の傾き修正工事には、フジテレビの目覚ましテレビも取材にきていました。23(木)7:20~7:30に放送予定とのこと