2011/04/25

モデルハウスの力

3日間で300組の来場者があったという、工務店のモデルハウスを紹介しましょう。


兵庫県のモコハウス。
社員5~6名の小さな工務店です。



1階のリビング・ダイニング
吹き抜けで2階とつながっています。

出ました、壁にきれい色!


オガファーザーに日本の伝統色・藍白(あいじろ)を塗装。
空間を柔らかく、優しくしてくれます。

*藍白とは、藍染を行う時に最初の過程で得られる極めて薄い藍色で、わずかに青い白(ほとんど白に近い)のこと。別名「白殺し」。(Weblio辞書参照)


天井は、屋根断熱にして架構を見せています。
木材は白でペイント。でもちゃんと木だって分かります。
モダンで、温かみのある仕上がりです。


2階からダイニングを見下ろしてみると・・・
 窓から光が入って、とても明るい。
Low-Eガラスで暑さ対策もばっちり。


床は厚さ30mmの松のムク板張り。冬の蓄熱効果も得られます。木の色が多いと色(家具)が映えないため、木目が見える程度に塗装しているとのこと。壁も板張り部分はグレーに塗っています。家具をコーディネートしやすいポイントだそうです。


かわいらしい赤い棚に目がいきます。
壁にはファブリックを張ったパネル。
棚と色合いもよく、いいコンビネーションです。



ダイニングからキッチンを見てみましょう。
カウンターやアイランドでなくても、素敵なものは素敵。
床が板張りからタイルに切り替わっています。

ドアの向こうは浴室&洗面室

洗面室の納戸は、きれいなファブリックで仕切られていました。

ちなみに寝室のクロゼットの扉もファブリックです。
柄に飽きたら、好きな布を買ってきて、
取り換えるだけで簡単に模様替えができちゃいます。

ナイスアイディア!


モコハウスでは、照明デザインも受けているそう。
 2階のアトリエの照明。
スウェーデンのデザイナーのもの。

こちらはリビングの照明。IKEAで買ったもの。
たんぽぽの綿毛みたいで、点灯したところを見てみたいですね。


社長の道田氏は、大手ゼネコンの出身で、高層ビルの建設も経験したという施工のプロ。Q値1.4、C値0.1と優れた施工精度で、大空間でも快適な温熱環境を実現しています。


ですが・・・、その姿をどこからどう見ても、このような素敵なインテリアと縁があるようには見えません・・・(社長、ごめんなさいッ)


実は、モコハウスではスウェーデン人の建築家を起用しています。


この異色(?)の二人三脚が、素敵なデザインの高性能住宅を生み出しました。


モデルハウスの見学会は、真夏と真冬に行うとのこと。夏はエアコン1台で、冬は蓄熱暖房機1台で心地よい住空間を体感してもらいます。


インテリアを見て多くのお客さんがこの家を欲しくなり、快適な住空間を体感してモコハウスに決める。モデルハウスの効力は絶大ですね。特にインテリアデザインは、心を掴むうえで、すごく重要だと思いました。


ビルダーズ06号(8/27)のインテリア特集では、同社のインテリアデザインをもっと詳細に紹介する予定です。お楽しみに!

ウレテック・ジャパンの社長ブログに、曳家の岡本さんの仕事がレポートされています。

2011/04/21

スカイツリー

3月18日に634mに到達したスカイツリー。


雲が多い日は、てっぺんが隠れてしまいます。 

展望台からは雲の上が見えるのかな?



 
記念の純金小判が売り出されていました。

一番大きな10㎝・173gの小判は1,634,000円(63枚限定)

なんのこっちゃ(笑)




2011/04/19

1500万円への挑戦

先週金曜日、建築知識ビルダーズ05号の座談会企画で、西方設計の西方さん、ヤマダ建築工房の山田さん、そして田中工務店の田中さん岡庭建設の池田さんに来社いただきました。

これからの木造住宅について、意見交換。
コーディネーターはフリーランス大菅さん(一番左)


座談会ではいくつかテーマがあがりましたが、
最も興味深かったのは・・・


「1500万円の住宅は可能か」


最低でも2000万円以上が当たり前でやってきた彼らにとって、2000万円以下の住宅はある種の挑戦ともいえるでしょう。


・面積を小さくする(=材料や作業の量を減らせる)
・仕様を限る(=プランが決まるまでの作業を減らせる)
・プランをシンプルにする(=同上)
・土地を含めた総合プロデュース(=土地だけにお金をもっていかれない)


いくつか方法論は出ましたが、いずれも大事なのは自分たちの仕事の“質を下げず”にできること。そんなに簡単ではありません。



うーん、このテーマ、おもしろそうです!
07号(11/27発売)で特集しようかな。




ところで、「コストを下げるために、これだけはやりたくない!」と4人が共通して言ったことがあります。

何でしょう・・・・?



それは・・・


「職人や下請け会社を叩くこと」



低価格が売りの住宅会社では、大工の日当7,000円(コンビニ店員のほうがワリがいいかも・・・)とか、1棟50万円(25日で赤字に・・・)というのがまかり通っています。



「家づくりの技術は、家を守る技術でもある」



職人の手わざは、これからの日本の住宅に必須であり、敬意を示すべきものであることを、もっと広く社会に訴えていく必要がありますね。



「技術を軽んじない、安くていい家」



平凡なサラリーマン世帯の私は、彼らのつくる1500万円の住宅が実現する日を待つしかなさそうです。

2011/04/17

悪徳業者に注意!

夏場の計画停電に向けて、住宅を遮熱アルミで包みましょう。

え? 費用ですか。 大丈夫ですよ。

今なら、東京電力が補償してくれます。

・・・・

・・・・

・・・・

こんなあやしげな話、絶対に引っかからないでくださいねー!

2011/04/14

転倒防止と開放防止

生後3カ月の乳児のいる友人が、地震時を振り返って言いました。



「家の外に出るまでが、一番恐ろしかった」



浦安にある彼女の家では、棚が倒れ、物が落ち、玄関までのわずかな道のりさえ、まともに歩けなかったそうです。小さな赤ちゃんを抱え、どんなに怖かったことでしょう。



「家の傾きなんて二の次、避難経路をちゃんと確保することが先決!!!」





安全な場所に避難するまでの、わずかな時間の安全対策。
家具の転倒防止だけでなく、
その扉や引き出しの開放防止まで気を配っておきたいものです。


金物メーカー・ムラコシ精工のホームページで、
地震の揺れによる引き出しの開閉の様子が映像で見られます。

↓↓↓


この製品(耐震ラッチ)をずっと前から知っていましたが、
彼女の話を聞いたときに、その重要性が初めて分かりました。


★大和ハウスが販売する、可搬式のリチウムイオン蓄電システムと太陽光発電パネルを組み合わせた「SOLAR STORAGE(ソーラーストレージ)」も気になります。満充電状態で約1.1kWh分。照明(45W)3灯、携帯電話の充電10台分、ノートパソコン3台を約3時間使用できるそうです。価格は 252万円(税込)~

2011/04/12

ひと休み

あまり知られていないが新木場の駅前の液状化もひどかったと聞き、様子を見に行こうかと思ったのですが・・・・。


桜があまりにきれいだったので、予定を変更。



地震直後はひび割れていた並木道も今は補修されて、人が歩いています。


今日は風が強くて、桜吹雪に。
うーん、日本人でよかった!

 
え?会社? 花見も仕事のうち・・・になりません?よねぇ。  

2011/04/11

17年の間に

阪神・淡路大震災から、今回の東日本大震災まで17年。
その間に・・・


2000年 鳥取県西部地震(M7.3)  死者0人 全壊435 半壊3101
2003年 十勝沖地震(M8.0)  不明2人 全壊116 半壊368 
2004年 新潟県中越沖地震(M6.8)  死者68人 全壊3175 半壊13808
2005年 福岡県西方沖地震(M7.0)  死者1人 全壊133 半壊244
2007年 宮城県沖地震(M7.2)  全壊1 半壊0
2007年 能登半島沖地震(M6.9)  死者1人 全壊684 半壊1733
2007年 新潟県中越沖地震(M6.8)  死者15人 全壊1319 半壊5621
2008年 岩手・宮城内陸地震(M7.2)  死者13人 全壊28 半壊112  


8回も大きな地震が起きています。
よく100年に一度、1000年に一度の大地震といった表現が使われていますが、日本ではそのレベルの地震が数年単位で起こっていることを覚えておきたいですね。


★池袋を歩いていたら、何年ぶりでしょうか、「少しの時間、一緒に過ごしませんか」とのお誘いが・・・! え? はい、大きなマスクしていました(笑)

★ビルダーズ学校の申し込みがスタートしました!

2011/04/06

沈下した家をどう直すか?(続き)

「俺はクニマスか!!!」

 と突っ込まれてしまったほど、その驚きと興味を隠せなかった出会いがありました。

注:クニマスはサケ科の淡水魚。環境省のレッドリストで「絶滅」とされていましたが、2010年に山梨県西湖で生息が発見されています。


高知県の曳家職人・岡本直也さん。
かさ上げ・家屋移動業専門。
岡本さんのホームページはこちら


地震で傾いてしまった住宅を直すために、今、全国の曳家職人が被災地に集められているそうです。岡本さんも、浦安市から声をかけられ、上京していました。


なぜ、曳家さんが被災地に・・・?


恥ずかしながら、曳家とは重要文化財などを保存するための伝統技術だと思っていたので、その技術が沈下修正に生かされるものだと知りませんでした。(日本曳家協会のホームページ


浦安には、ジャッキアップや樹脂注入などの方法では対応しきれないほど傾いてしまった住宅がたくさんあります。このような住宅は、地盤や基礎をしっかり対処しておかないと、今後も同じことを繰り返してしまいます。


しかし、すでに建っている住宅の地盤改良や基礎を直すことは決して簡単ではありません。そこで登場するのが、曳家さん。 家を持ち上げておいて、その間に地盤や基礎を直すというのです。



手書きメモで失礼
コストが気になるところですが・・・、
こればかりは状況によるので何とも言えません。

1000万円はかからないけど、数百万円はかかるらしい。


ちなみに1階30坪・2階25坪程度の家を持ち上げるのに、約20日間かかるそうです。



20日間・・・



そんなに手間のかかることなのでしょうか・・・?
それこそジャッキアップで簡単にできるのでは・・・?



職人さんに向かって失礼を承知で、聞いてみました。




「住宅を傷めずに持ち上げることは、決して簡単ではありません」
(by岡本さん)




傷めないためには、その家のつくりがどうなっていて、基礎のつくりがどうなっているかを読み取る力が必要です。
次に、ジャッキアップを取り付ける位置。基礎に据え付けるときのことを考えて、通し柱の座るところは避けつつ、そのギリギリ近くをねらいます。
持ち上げるときには、内部の壁のチリ部分(接合部)が壊れてしまわないように持ち上げなくてはなりません。


いずれも、経験から学ぶもの。職人から職人へ受け継がれていくもので、マニュアルや取り扱い説明書などはありません。



「ちゃんとした技術をもつ曳家職人は全国に100人もいない」
(by岡本さん)




基本的な技術が身に付くには、仕事がたくさんある状態で4年かかるという曳家の仕事。仕事が少なくなった今、意欲ある若者が入ってきても、一人前になるのに何年もかかってしまい、それまで続けらず辞めていくケースがほとんど。多くの伝統技術と同様、次世代が育たない現状があります。



岡本さんは、まもなく50歳。



曳家の仕事がたくさんあって、先代や職人さんたちにしごかれながら技術を身に付けた最後の世代。技術も矜持も持ち合わせた数少ない職人さんの一人。


やっぱり、クニマス発見!と並ぶ、幸運な出会いだったのでしょうね。



★印刷所に確認しました。ビルダーズ05号は問題なく5/27に刊行いたします。お楽しみに!

2011/04/03

沈下した家をどう直すか?

液状化によって傾いてしまった家は、どのように直すのでしょうか・・・?


そこで、「床の傾きを直す会社」ウレテックジャパンの川口社長を訪ねました。
ジャッキアップ工法や基礎下に樹脂を注入する工法など、複数の工法を取り扱っているちょっと珍しい会社です。


「何でもかんでもジャッキアップすればよいわけではない」


と川口社長。住宅の傾きや沈下の度合い、基礎や住宅そのものの状況によって、適切な「持ち上げ方」があると言います。
そんな川口社長の自宅は、なんと浦安。震災から3週間を過ぎた今でも、家の傾きは進行しているそうです(川口社長のブログはこちら)。


「修正を急いではダメ」


家の傾きが止まるまで様子をみたほうがいいし、地盤の状態もちゃんと見ないまま適切な修正はできない。


もし、このような被害状況のなか、すぐに見積りを出せるような業者がいたら、むしろ慎重さに欠けると言っていいかもしれません。




たとえば、浦安には次のような被害が珍しくないと言います。

車で踏み固められている道路よりも、むしろ表層がやわらかい住宅敷地に液状化が集中し、道路面よりも沈下したうえ、さらに家が傾いてしまった例が少なくない。



こういう場合、とにかく家の傾きだけでも直そうというのは危険です。


なぜなら・・・




では、どうすればよいか・・・?




新たに基礎をつくり直す方法があります。



ですが、これは決して簡単なことではありません。



傾き30cmまで対応するという同社のジャッキアップ工法や樹脂注入工法でも、完全に修正することができません。川口社長も頭を抱えます。



そんなときに、救世主が現れました。



それは・・・



曳家職人の岡本さん



岡本さんは、なんと高知県の職人さん。浦安市から頼まれて被害状況を視察にいらしていたとのこと。私は、曳家職人さんに会うのは初めてでしたので、岡本さんから聞いた話すべてが興味深いものでした。



岡本さんの話は・・・、たくさんあるのでこの次に。


★今日、あるテレビ番組を見て、震災による紙不足などの影響で休刊する雑誌が200誌以上あると知りました。 ビルダーズは・・・、大丈夫なはずですが、明日もう一度、印刷所に確認してみようと思います。